無題



悩める君は

全てを叶えたいと、悩んでいた

私は

全ては叶わないと、悩んでいた

ふたりの夢は

日々の片隅の、ありふれた、静かで小さな夢

日差しを浴びて眠る月下美人も

そっぽを向いた神様も、夢は見るのだろうか、君みたいに

なんでもない夢

寒い夜、お城を守る厳かな番兵も

暗い森の中で、独り潜むオオカミも、詩は詠むだろうか、私のように

なんでもない夢を想って、詩を詠むだろうか

詩を詠んで、祈ったりするのだろうか

みな、そうしてそれぞれの

夜明けを独り待つのだろうか