坂
ぼくが悲しみだと決めてかかった悲しみを
きみはかなづちでかち割った
夢をみた、まるでとっかかりのない坂を
とにかく滑り落ちてゆく夢だ
ぼくが掴もうとするすべてはもうそこにはない
ぼくが悲しみだと決めてかかった悲しみを
きみはかなづちでかち割った
これは出会いだ
これは現実だ
ぼくは粉々になったかつて悲しみだったそれを
(だが、それはいつまでも悲しみであるに違いない)
拾い上げて、聳え立つ一枚の空白に
。ガツンと突き刺した
。ガツン、ガツンと突き刺した
。ガツン、ガツン、ガツンと突き刺した
そうだ、これは坂だ
でこぼことした現実の
。いかめしい坂だ
ぼくの前にあるのは息も絶え絶えに登られるのをまつ
それはそれはいかめしい
それはそれは長い
。坂らしい坂だ